PSPとは ( Pressure Sensitive Paint : 感圧ペイントシステム )

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感圧ペイントシステム(PSPシステム)



感圧塗料(Pressure Sensitive Paint : PSP)による圧力測定


ある種の色素は紫外から青色にかけての特殊な光により励起され、青色から赤色の蛍光・燐光(信号光)を発する。
色素の種類によっては、このときの信号光強度は色素と酸素分子の衝突失活により変化する。
感圧塗料はこの原理を利用しており、最初に流れの可視化に用いたのはPertersonとFitzgeraldであった。
その後、1989年にこの測定法を利用して航空機の翼表面の圧力を測定できることがワシントン大学のKavandi,Callis他により提案された。同年3月NASAで最初の実験が行われ、続いてワシントン大学で研究が進められていたものが実用的なものになり、ドイツ、イタリア、旧ソ連等で使用された。

通常紫外から青色の光で励起するPSP色素は、青色から赤色の信号光を放射し基底状態に戻る。
しかし、酸素分子との衝突が多い場合、すなわち高圧になり酸素分子数が増加すると、酸素分子との衝突によりエネルギを失いルミネッセンスを放射することなく基底状態に戻る衝突失活が増える。
そのため、全体としてPSP色素の発光輝度(信号光強度)が減少する。
この信号光強度の変化が酸素分子数つまり圧力に依存するため、PSPを塗布した供試体に励起光を照射した際の信号光強度変化から壁面圧力分布を求めることが出来る。



PSPの較正方法


Stern-Volmer式の較正係数を求めるためには、通常a Priori較正法またはin Situ較正法が用いられる。
a Priori法では、あらかじめPSPの圧力・温度特性を計測し較正曲線を求めておき、実験時計測した発光輝度をその較正曲線を用いて酸素濃度分布に変換するものである。実験中の塗料が温度変化の影響で発光輝度が変化するため、a Priori法では常に実験中の壁面温度を計測し補正を加える必要がある。しかし、風洞気流の条件によっては色素の劣化の影響が無視できないため、温度補正を加えても計測精度が低下する。

一方、in Situ法では、測定時に圧力計測用の静圧孔を数点設け、実験中に圧力計測を実施し、静圧孔周りのPSPの発光輝度と対比することによって較正曲線を求め、得られた較正曲線を測定面全体の較正に適用するものである。
比較的簡単に精度良く圧力分布を求めることができるが、Stern-Volmer係数が温度依存性を持つため、壁面温度が均一である場合以外は誤差が大きくなる。


 

励起光源


PSPの励起光源としては測定面全体を均一に十分な光量で照射することと、PSP色素を励起する波長の光のみを発し、信号光と容易に分離できることが求められる。当初レーザや水銀-キセノンランプなどが用いられてきた。
レーザは特定の波長の光のみを出すため、励起光源としては適しており、窒素レーザ、3倍波のYAGレーザ、アルゴンイオンレーザ等が用いられている。しかし、高価であり広い面積を均一に照射するのは困難であった。
一方水銀-キセノンランプはレーザに比べると安価であることから比較的良く用いられるがかなり広い波長の光を出すため、PSPの信号光と励起光が重複しないように励起光側にフィルタをつける必要がある。
そのため、最悪の場合、ランプ定格出力の0.1%程度しか励起光として用いることができないと考えられる。
そこで、これらに変わる光源として近年注目されているのがLEDである。
青色LEDは460nmを中心とする単色光を時間変動もなく安定して放射する。
LED一個あたりの輝度は弱いが多数のLEDを集中して用いることにより十分な光量を確保することが可能である。
さらに、ELシートを用いて背面からPSP色素を励起する手法なども開発されつつある。




PSP色素


PSP色素としては主としてポルフィリン系、芳香族、ルテニウム錯体の三種類が用いられてきた。
PSP開発の初期にアメリカで用いられていた色素は、ポルフィリン系のPtOEP(Pt Octaethylporphine)である。
しかし最近の研究からPtOEPは感度、発光輝度、温度依存性等があまり良くないことが判明している。
それに代わってISSI社等ではPtTFPP(Pt(II) meso-TETR (PENTAFLUOROPHENYL) PORPHINE)を用いている。
PtTFPPはPtOEPに比べ感度、発光輝度、温度依存性に優れる。
しかし、半田等が提唱する温度依存係数を考慮するとポルフィリン系のPSP色素ではH2TFPP (meso-TETRA (PENTAFLUOROPHENYL) PORPHINE)等の様に中央に金属原子が結合していないものが優れている事が判明している。これらポルフィリン系の色素は励起波長が400nm以下のものが多く光源や可視化窓の材料に注意が必要である。

芳香族色素としてはピレン、ペリレン等が知られており、ロシアのTsAGIで開発されたPSPに用いられた。
そのため、芳香族色素は主に欧州で用いられている。
しかし、これらの色素は励起帯が紫外領域であり窒素レーザ等の特殊な励起光源を必要とする。

ポルフィリン系色素や芳香族系色素のように、励起光として紫外光を用いる場合、紫外線によりPSP色素が破壊され、色素が劣化し信号光強度が低下する。
色素の劣化はPSP色素によって励起された酸素分子が活性酸素となることから、その活性酸素によっても破壊される。

ルテニウム錯体は460nm前後に吸収帯を持ち青色LEDを励起光とするのに適している。
最初に用いたルテニウム錯体はRu(bpy)(Tris-(2,2’-bipyridyl) dichlororuthenium (II) Hexahydrate)であった。
しかしアルミ陽極酸化皮膜にはRu(bath-phen)(バソフェンルテニウム:Tris-(4,7’-diphenyl-1,10’-phenantrpline) ruthenium(II))(Fig.9)しか用いることができないため、最終的にはRu(bath-phen)を用いた。
ルテニウム錯体は励起光源としてLEDを用いる場合、劣化も少なく安定して用いることができる。
しかし、H2TFPP等と比べ、温度依存性が強く、実験には注意が必要である。




受光系


信号光を計測する受光系には光電子増倍管(PMT)、フォトダイオード(PD)、CCDカメラ等が用いられる。
一般にPMTやPDは非定常計測に用いられ、面計測はCCDカメラを用いる。
PSP計測における計測精度はこの受光系に大きく依存する。
求める計測精度を満足するためには、計測する圧力範囲における使用する色素の信号光強度変化量、受光素子の飽和電荷量・読み出しノイズ・平均暗電流、階調を考慮した上で受光素子を決定する必要がある。

一般には12bit以上の階調を有するCCDカメラが用いられる。


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