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デジタルシュリーレンシステム(DSS) BOS法、可視化手法
デジタルシュリーレンとは

デジタルシュリーレンとは、空間中に生じる密度勾配を光学的に可視化する手法の1種で、いわゆるBOS法(Background Oriented Schlieren)の1つです。
従来のシュリーレン法に比べて光学要素も非常に少なく、簡単にシュリーレン画像を取得する事が出来ます。通常の異物検査システムとは違い、可視化出来ない物体、現象などを可視化し、画像化する事が可能です。
シュリーレンとは
シュリーレンとは、光学的な可視化手法の一つで、19世紀に開発された手法です。
大気中に透明な気体を噴出させても、気体そのものは直接人間の目で見ることはできません。
しかし、噴出した気体と大気中に密度の異なる場合には、その部分を通過する光が屈折し、あかるさに明暗の差が生じます。
この屈折率が極端に大きくなれば、肉眼でも見ることができ、例えば、夏場にみられる陽炎などはこの現象に起因します。
この現象を応用した流体の光学的な可視化手法をシュリーレン法と呼びます。シュリーレンはドイツ語の"斑(むら)"に由来します。
シュリーレン法は光源、複数のレンズや極めて高い精度を要求される凹面鏡、ナイフエッジなどの光束カットフィルターを用います。
これらの機器を用いて、光束上に出来るかすかな差分が、画像では大きな差分となって現れることを利用し、温度、密度、圧力や結合など
重要な物理的パラメーターに起因する、空気や水中での歪み可視化の一般的な技術として確立しています。
従来のシュリーレン装置ではミラーやレンズにより作られた平行光を用いたために計測領域が限られ、広範囲の画像を取る場合は様々な制約がありました。
また、光学系の設置調整や特殊光源など、さまざまな制約が発生しており、セッティングには膨大な時間と熟練した技術が必要とされてきました。

デジタルシュリーレンシステムは複雑な装置構成や光学調整を必要とせずに、容易に広範囲のシュリーレン画像が撮影できる画期的なシステムです。
特徴
- カメラ、背景、解析ソフトウエアという非常にシンプルな装置構成
- 設置は数分程度にて完了、計測も非常に簡単
- 光軸ズレが起きても、すぐに再キャリブレーション可能
- 既存のカメラでもシステム構築可能
- 高速度カメラにも対応し、高時間分解計測可能
- 凹面鏡等が不要の為、広範囲の計測が可能
- 専用の背景生成ソフトウエアを備え、様々な現象に対応
- 東京農工大学田川研究室との共同研究による最新アルゴリズム、計測手法を採用
計測の流れ
- ① 被写体に対してカメラを設置し、その反対側に専用の背景を設置します。
- ② 現象が起きる前の素の状態(密度勾配が無い状態)にてベース画像を取得します。
- ③ 現象が発生したら任意の周波数にて画像を必要枚数取得します。
- ④ データを撮り終えたら、ベース画像との差分を解析ソフトウエアにて解析し、シュリーレン画像を算出します。
システム構成

- 各種カメラ(高解像度カメラ、高解像度高速度カメラ)
- 専用背景
- 専用解析ソフトウエア
- 専用背景作成ソフトウエア
- コントロールPC
メリット・デメリット
デジタルシュリーレンシステム
- システムの設置・構築場所はフレキシブルに対応可能
- カメラ・専用の背景ユニット(光源込み)とシンプルなシステム構成
- 広範囲エリアでの測定が可能(メートル級も対応可能)
- シュリーレン画像を取得するには画像取得後、解析が必要
光学式シュリーレンシステム
- 狭いエリアの観測では高精度(一般的に数cm~大きくても10・20cm程度)
- 光軸調整が煩雑・設置に時間がかかる・調整は技術を要する
- システムを設置する環境に制限がある(研究室・ラボなど屋内環境のみ)
- 撮影できた画像はシュリーレン画像
アプリケーション
- 品質検査
- 異物検査
- 温度差、変化
- 濃度差、変化
- 圧力差、変化
- ガス、気体
具体例
- 液体混入、攪拌工程
- 冷却、加熱現象
- ガスリークテスト
- 熱対流の検証
- 人間の呼気などの可視化
- その他 各種異物検査・試験用途
計測事例
計測例:メタンガス
メタンガスがチューブから 吐出される様子を可視化しています。
計測例:手
手からの発熱による上昇気流を 可視化しています。
計測例:ホットプレート
ホットプレートから温められた空気が 上昇する様子を可視化しています。
可視化サイズ(720x420㎜)
計測例:ホットプレート 流れ解析
左のデータを流れ解析したベクトル図です。
計測例:炭酸ガス
炭酸飲料の開封時に漏れだす炭酸ガス を可視化しています。
計測例:吐息
人間の吐息が観察できます。 可視化サイズ(800x800㎜)